春夏のレイヤリング

製品レビュー

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スキー、スノーボード、アウトドアの雑誌で活躍するフリーライター&フォトグラファーでありながら、北海道でアウトドア用品店「Transit 東川」を営む林拓郎氏。

そんな林氏より、これからの汗をかきやすいシーズンに向けて季節やシチュエーションに応じたTeton Bros.の春夏のベースレイヤーの選び方、レイヤリングの提案です。


このコラムの対象は汗ドバドバ族のあなただ。

山に行くたびに髪から汗がしたたり、ちょっとしたことでTシャツがびっしょりになるという、私と同じ体質のあなただ。そうした同族の方から「汗がすごいんですけど、何を着たらいいですかね?」と相談されることがある。

同志よ、残念ながら夏は暑い。

暑さから逃れるなら歩くペースをゆっくりにしたり、木陰とそよ風に富んだルートを選んだり、季節や時間帯、地形や標高を考慮するなど行動様式を工夫するしかない。繰り返すが、暑いものは暑い。着るものを工夫したからといって汗が止まることはない。

しかし我が友よ。

汗を抑えることはできないが、ドバドバ汗の不快感を低減する手段ならある。それは冬場に実践しているレイヤリングそのものだ。素肌に着るウェアで汗を体から離し、2枚めで吸収して乾かす。このしくみに従えば汗の濡れ感を払拭し、爽やかなサラサラフィーリングに近づけることが可能なのだ。以下にその例を示そう。

【初春・晩秋・高山帯】PPP+VAPOR L/S

一般の人が涼しく感じる気候であっても、簡単に汗ばんでしまうのが我々の属性だ。

ちょっとした登りさえあれば、簡単に本領を発揮。しかし気温が高い時期ではないので、汗は簡単に冷えてしまう。こうした場合ならまずはPPPを身に着け、その上にVapor L/Sを重ねてほしい。ポイントは「素肌には水を含まない素材」を着る、そして「2枚めには水を吸う素材」を着るということだ。

PPPは超撥水のポリエステル素材に疎水性。汗をかいても繊維自体に水分を含むことがなく、肌当たりは常に爽やかドライ。

では汗はどこにいくかと言えば、繊維の隙間を通ってVAPORに吸い上げられる。VAPORはこれまた強力な吸水力を誇っており、わずかな水分でも目ざとく吸い上げる汗ハンターなのだ。

北海道は大雪山の麓、標高1000mに位置する雲井ヶ原湿原は、7月の声を聞いても肌寒い。結果、長袖で保温と同時に汗対策。PPPにVAPORを重ねて歩いている。

この組み合わせを実現することで汗は肌に残らず、効果的に乾いて汗冷えを防いでくれる。稜線でウインドシェルが欲しいときには、優れた通気性によって汗の蒸発を妨げないWIND RIVERシリーズなどがおすすめだ。

 

【初夏】 PPP+Tシャツシリーズ

この季節になると発汗量が増えてくる。特にバックパックが当たっている背中は汗量もうなぎのぼり。Vaporでは吸い上げのパワーが足りない!という事態さえ起こってしまう。

そうなったときにはTeton Bros.の吸汗速乾Tシャツにチェンジだ。理由は半袖で通気を確保できること、そしてTシャツなら着替えを用意しておくのも簡単ゆえに、汗を吸いきってしまったなら着替えてしまおうという算段だ。

暑いからと言ってTシャツだけで過ごすよりも、汗の量によってはPPPのような疎水素材を着ることでサラサラ感と快適性はぐっとアップする。PPPは長袖だが、そこもなんとかしたいという人なら半袖のELV 1000シリーズの登用もナイス。ラン用のウェアだが、半袖ベースレイヤーとしての使い勝手は申し分ない。

7月中旬の大雪山縦走。60Lのバックパックをパンパンにしながら、ちょっと荷上げのお手伝い。こうなると汗ドバドバ族の本領発揮。いつでも着替えてやるぜと、PPP+Teton Bros.のTシャツで汗対策。

ベースにロングスリーブのPPPを多用するのは気温もさることながら、高緯度地方独特のじりじりと肌を 焼く日差し対策。適度に風も通るので半袖よりも快適。

【盛夏】 ELV 1000シリーズ

前述のラン用ウェアを多用したい。真夏の我々を相手にして、汗を吸い上げようとすること自体がムダ。

とにかく、いかに汗を身体から振り落とすかという完全にアスリートな発想に切り替えることが必要だ。このELVもPPPも、水を風呂敷のように包んで運ぶことができるほどの撥水性を備えているため、こうした目的にはピッタリ。吸水性がまったくないので、ちょっとした小雨程度なら気にせず歩けてしまう全天候型ウェアとして、U.L.ライクな行動様式も可能なのだ。

汗対策はドバドバ族だけでなく、トレランやスピードハイクなど運動量が上がることで発汗が避けられなくなるアクティビティにも有効だ。

迫りくる夏もレイヤリングの発想をとりいれて、少しでもラクに乗り切ろうではないか!

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この記事を書いた人

林拓郎

林拓郎

スノーボード、スキー、アウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と深いパウダーの冬を堪能中。アウトドア用品店「Transit 東川」オーナー

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