4ヶ月履いてわかった、旅からトレッキングまでマルチにこなす「Journey Pant」は何が新しいのか

製品レビュー

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スキー、スノーボード、アウトドアの雑誌で活躍するフリーライター&フォトグラファーでありながら、北海道でアウトドア用品店「Transit 東川」を営む林拓郎氏。
この春、新たにリリースした「Journey Pant」を様々なシチュエーションで履いてみて感じたインプレッションです。


春から4ヶ月ほどJourney Pantを使っている。ジャーニーという名前からもわかるように、旅のパートナーとして役立つべく、さまざまなアイデアを盛り込んでデザインされた製品だ。
実際に旅だけでなく、日常生活や多くのアウトドアシーンで活躍しまくっているが、夏を通して "使ってみて良かった点" をお知らせしておきたい。

わずかにテーパードしたシルエットをもつリラックスフィット。立体裁断ながら、それほど目立つようなパターンではない。

1)座り続けることにストレスがない

使いみちが明確にイメージされていることがTeton Bros.の製品の特徴だ。
Journey Pantはこれまでの製品のようにアクティビティに対応するだけでなく、長時間座っていても窮屈さのないパンツであることをゴールに据えた。
たとえば国際線に乗っているときのように、腰、ひざを曲げた状態が長時間続いても各部につっぱりがなくリラックスしていられること。そうした使い心地を実現するために大きく貢献しているのが、春夏のRidge Pantに採用している立体裁断だ。関節部の周辺に余裕をもたせながら立体的に仕上げていく手法は、狭いシートに押し込められていても生地がつっぱることがない。実際、それは国内線LCCのコンパクトなシートだけでなく、新幹線でも、あるいは旅先で借りた軽トラックの助手席ででも、そしてデスクワークでも不満のない履き心地を発揮してくれたのだ。

快適な座り心地のパンツ。こんなところに着目したトレッキングパンツは初めてだったが、そのコンセプトは見事に形に反映されていた。

座っていても、どこにもつっぱり感がない。終始リラックスしていられるのがこのパンツのいいところ。

トレッキング程度ならどこにも不満はない。旅先でのアクティビティにも、十分対応できる。高撥水で汚れがつきにくい点も嬉しい。

2)ノンストレッチなのにノーストレス

昨年の夏はランパンツを褒めまくって履きまくった。
薄くて軽くて足さばきが良く、何よりもストレスがない。そのノンストレスな履き心地の最大ファクターはソフトシェル素材を使ったストレッチ性だ。スクワットをしても一切の突っ張りを感じさせない自由な感覚は、ランだけでなくトレッキング時の足上げでも無敵。数日に渡るキャンプサイクリングもこなしてしまうスーパー快適な履き心地を提供していた。

一方、ジャーニーパンツにはストレッチ性がない。
素材となっているコーデュラは岩にゴリゴリこすりつけたとしてもへこたれない丈夫な素材だし、軽さと速乾性をも備えている。トレッキングパンツにはもってこいなのだが、伸びる素材ではないというわけだ。ストレッチするパンツの快適さを知ってしまった身としては、ストレッチしない素材にはあまり惹かれなかったのが正直なところだ。

しかし、体験せずして評価なし。一応試してみるか、とトライしたのだが、履いた瞬間からその快適さに声を上げ、そのままスクワットをして感動し、あちこち歩き回ってひと夏を過ごして確信を得た。
ストレッチは必須ではなかった。

驚いたことに生地が伸びなくても、パンツは窮屈になったりしないのだ。人間の体の動きをよく理解した人たちが、生地のことをきちんと知って、パターンを作るデザイナーたちとアイデアをぶつけ合い、縫製だけでなくあらゆる製造工程に関わるさまざまな問題を加味した上で作り上げると、トレッキングパンツはこんなにもラクに履けて運動を妨げず、しかもタフでありながら、ちょっとしたお食事に履いていける程度のカジュアルさを身につけることができる。

Teton Bros.お得意の股下ガゼット。このパーツがあることで、大きなムーブにも生地がしっかり追従してくれる。

ストレッチは快適だけど必須ではない。そのことを体験として知ったことは、非常に大きな収穫だった。そして、このストレスのない履き心地は旅先で一日じゅう歩き回ったり、ハイキングに出かけたり、あるいはスソをたくしあげて川遊びに興じたりと、おおよそのアクティビティをこなしてしまう実力を備えていた。

中でもハードな使い方となったのは大雪山の縦走だが、3日間歩き続けて岩にこすられ雨に濡れても何ら不満を感じさせることはなかった。トレッキングパンツとしてのパフォーマンスは平均以上。それでいながら、テントサイトであぐらをかこうが、岩に腰掛けて休憩しようが窮屈さゼロ。歩けて座れてリラックス度抜群という包容力には感心するしかなった。

7月上旬の大雪縦走。初日と二日目は夏晴れ、最終日は暴風雨に見舞われたが、パンツに不満を覚えるような状況は一切なかった。テントサイトでの食事など、しゃがんだり座ったりするシーンでも快適そのもの。しかも生地が丈夫であることは折り紙付き。まさに不満のないトレッキングパンツだった。

3)軽い、涼しい。そしてパッカブル

しなやかで軽い。それがこのパンツの第一印象だ。
比較してみると、2022年モデルのRun Pant(Mサイズ)180gに対して、2023年モデルJourney Pant(Mサイズ)は173gしかない。前たて付きでポケットは前にふたつ、ヒップにふたつ。しかもヒップの右側はファスナー付き。スソにはドローコードも付いるので、暑いときにはまくり上げても使える。こんなふうに、ほぼフルスペックといってもいい装備の充実ぶりにもかかわらず、だ。

フロントポケットは使い勝手も上々。

ヒップポケット。右側のみファスナーが付き、パッカブルポケットになっている。

もちろんこの軽さに貢献しているのは65Dの糸を使用した100%コーデュラ素材。数字以上に軽くて薄い生地のおかげなのだが、この薄さを実現しているのはコーデュラの丈夫さ故。つまり、丈夫だから薄く軽くできたというわけだ。
といったようにコーデュラの特徴といえばそのタフさが挙げられるが、Journey Pantは履いていて涼しい。
実はコーデュラは着冷感を備えており、肌に触れることで軽い冷感を与えてくれる。さらにゆったりしたサイジングは肌と生地との間に空間を設けることになる。この夏、他のトレッキングパンツを差し置いてJourney Pantに手が伸びたのは、軽さと同時に、この着冷感にあったことは間違いない。
また、Journey Pantシリーズには共通の特徴としてパッカブルポケットが設けられている。Journey Pantもヒップ右側のファスナー付きポケットが収納袋になっている。しかも、余裕を持って収納できるゆったりサイズ(約16×16×4cm)だ。

パック状態。畳んで仕舞うのではなく、適当に押し込んでいくのが正解。シワは伸びるので気にする必要はない。

そして、これもナイロン系素材の大きな特徴なのだが、パッカブルポケットに詰め込んだ際のシワも、少し湿り気を与えて20分も吊るせば、スッキリと伸びてくれるのだ。時間に余裕があるならいったん水に濡らして干しておけば、翌朝にはシワはきれいに消えてくれる。この特性を知っておけば何の気兼ねもなく、パッカブルポケットに収納しておくことができる。

高層湿原をファストハイク。爽やかな風を取り込みながら、快適に歩くことができた。

その他、お得意の高撥水だったり、スソを折り返せばリフレクターテープが仕込まれていて夜間の視認性を上げてくれたり、あらゆる部分に気が回っている。使い方としては、まさにコンセプト通りで、旅には必須。このパンツがあれば移動も、旅先でのアクティビティも、そして時にはドレスコードがあるようなレストランにも対応可能となるだろう。そして丈夫さや使い勝手の良い装備で、アウトドア対応の普段着パンツとしても申し分ない快適さを備えていることも、改めて強調しておきたい。

得意の高撥水は、多少の雨なら気にならない。と同時に、何よりも嬉しいのは長期の使用でも汚れがつきにくいこと。

座ることを想定して長めに設定されたスソには、ドローコードが設けられている。たくし上げたり、シューズの高さに合わせたりと調整可能。また内側にはリフレクターを装備。折り返すことで、夜間歩行時の安全性を上げることができる。

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この記事を書いた人

林拓郎

林拓郎

スノーボード、スキー、アウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と深いパウダーの冬を堪能中。アウトドア用品店「Transit 東川」オーナー

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