「MOB」から「Axio」へ

開発ストーリー

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Teton Bros.のベースレイヤーの定番となっているMOB WoolとAxio Liteはウールの加工と開発力で世界的な技術を持つ尾州(愛知県一宮市)と協力して作っています。
尾州と開発の取り組みをはじめて今年で6年目になりますが、「あったらいいもの、今まで作れなかったものを生み出したい」という私たちの想いと「作るのが難しいと言われてきたものを尾州で何とか可能にしてみたい......」という尾州の技術者の熱い想いと知恵が重なり、製品として形になっています。
そんなMOB(Masters of Bishu) シリーズの開発経緯と新たに登場した「Axio 3D」に関するコラムです。


「Axio」ベースレイヤーは、「MOB」ベースレイヤーと同じく、愛知県一宮市で作られています。「Bishu=尾州」の名で知られ、世界的に評価の高いウール製品の一大生産地。糸のスピニングから加工、染色、製品化に至るまで、「尾州」の優れた技術とノウハウは、Teton Bros.のベースレイヤーに欠かせません。

さて「MOB」をリリースした私たちが次に挑んだのが、春夏向けのウールベースレイヤーです。

保温性、吸湿性、天然の抗菌防臭性を備えるウールは、ベースレイヤー素材として非常に優れています。けれども、速乾性が乏しいために、汗処理能力に課題がありました。そこで水分を一切含まないPP素材を肌面に編み込むことで汗戻りを解消したのが「MOB」でした。

メリノウールとポリプロピレンを立体的に編み上げる空気を含みやすいMOBの構造。肌面のポリプロピレンは汗を素早く遠ざけ、表面のウール部分は優れた吸水性と保温性をもつ

 

ただ「MOB」はウールを立体的に編んだ秋冬向けニットのため、温暖な春夏時期には不向きです。
そこで尾州のエンジニアと協議を重ねるなかで浮上したのが尾州の「Axio」です。これはポリエステルのフィラメントをウール繊維で包み込んだ特殊なコンポジット素材で、すでに多くのアパレル製品に採用されていました。

この「Axio」はウールとポリエステル、両者のメリットを生かした優れた素材でしたが、アウトドア用ベースレイヤーとして採用するには、若干の問題がありました。それは、水分の拡散性が低いために、乾きづらかったのです。

吸収した汗を繊維の表面に拡散して乾きを促す。これがポリエステルベースレイヤーにみられる「吸汗速乾性」のメカニズムですが、ウール繊維は拡散性が低いので、吸収した水分が乾きにくいのです。

そこでTeton Bros.としてリクエストしたのは、繊維の拡散性を高めて、汗を吸っても乾きやすく、春夏シーズンに快適に着られるウール混紡繊維にすること。それに対して尾州のエンジニアは、ほかに真似のできない吸汗拡散性を実現してくれました。フィラメントに使うポリエステル繊維は異型断面を採用し、急激な体温上昇時にクーリング効果を発揮します。

Teton Bros.のAxioは春夏の登山、マウンテンランニングなど運動量が多いアクティビティにおいても汗をしっかりと吸収し、拡散する

また暑い季節に着るものなので、できるだけ薄く軽くしたかった。そこで生地の目付(単位あたりの重量)も一般的な「Axio」より軽く、というリクエストにも応えて頂きました。そうして完成したのが、春夏シーズン向けのベースレイヤー「Axio Lite」です。糸の表面に凹凸がなく非常にスムーズなので、滑らかな着心地で、ウール混紡繊維の弱点でもあるピリングに対しても強さを発揮します。

今季、この「Axio Lite」を秋冬シーズン向けのベースレイヤーに改良するに際して、立体的なニットで仕上げました。これが4ウェイストレッチの「Axio 3D」。
フィラメントにはペットボトルからリサイクルしたポリエステル繊維を使用し、また、立体構造が薄手生地の透け感を解消しています。

立体的に編まれたニットがよくわかる「Axio 3D」

Text by Nori Suzuki
Teton Bros. Founder / Skier

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