フィールドテストの実際〈Rock Jacket〉

ガイドインプレッション

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通年の登山、バリエーションルート、各種クライミング、BCスキーなどオールラウンドに活動する山岳ガイドの水野 隆信氏より、今季新たにリリースした「Rock Jacket」についてのインプレッションが届きました。

水野 隆信 [ TAKANOBU MIZUNO ]  https://guide-mizuno.com/


Rock Jacketのフィールドテストは長野県の小川山で行った。テストしたのは、その前身モデルであるWind River AP Hoody。

その大きな特長である高い耐摩耗性を維持しながら、ハーネスにも干渉しないポケットの位置など、ロッククライミングなど多くの登攀シーンで使用できるように進化されたアップデート版がRock Jacketである。

テストはマルチピッチクライミングからスタートした。狭いチムニーでガリガリと背中を擦るようなムーブが出てくるルートで、今回のテストにぴったり。

結果は花崗岩のざらついた岩質にもかかわらず、生地を確認すると何ら問題なく、使用感すら感じられないほどだった。この結果だけでも耐摩耗性が非常に高いと考えることができた。

長いマルチピッチクライミングでは、ギアの軽量化が重視される。これはウェアも同様だ。

特に風があるときはウェアリングに迷うこともあるが、防寒防風対策のウェアに関しては、可能な限り、薄くコンパクトに持ち運びたい。クライミング中は動いているので暖かいが、日差しがない場所でのビレイ中に風が出てくると、真夏であっても体の芯から寒さを感じるときがある。

その点、このジャケットは熱を逃がしにくいという特長がある。風をしっかり遮断してくれるから、自分の体温を利用して暖をとることができるのだ。

 

最大のポイントは、ルート上での着脱を想定した機能が追加されたことだろう。非常に軽量でパッカブルなこのジャケットはカラビナループ付きで、ハーネスのギアループにカラビナで装着して持ち運ぶことができる仕様だ。

カラビナでギアループにフックして携行する。

 

私の場合は、ハーネス背面のギアループに付けているのだが、ここからが特に素晴らしいポイント。

強めの風が吹いた際、たとえばクライミングロープが舞うような状況での着脱では、たいていジャケットが飛ばされそうになる。しかし、このモデルはハーネスからカラビナを外すことなく、つまり、ギアループにぶら下げた状態で着脱できるのだ。

ハーネスのギアループにカラビナで連結したまま脱ぎ着できる。強風下のビレイポイントでは非常に有効。収納するときもカラビナに付けたまま。

 

もちろん、その後のビレイやクライミングでの動作にも支障はない。また収納する際も、ポケットに押し込むことでスムーズにパッキングでき、最後はファスナーを利用することなくワンアクションで完全にパッカブルになる。収納後のサイズ感は手のひらサイズで非常にコンパクトだ。

収納するときもカラビナに付けたまま。

 

飛ばされない安心感、そして着た瞬間から体を温めてくれる頼りになる相棒である。

ちなみに、私はこの機能をさらにスムーズに行うために、通常はSサイズのウェアを使用しているが、Rock JacketではMサイズを使用している。

 

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この記事を書いた人

水野 隆信

水野 隆信

オールシーズンの登山、バリエーションクライミング、スキー、フィッシングなどオールラウンドに少人数制でガイドを行なっている。 日本山岳ガイド協会認定 登攀ガイド / 日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅡ / 日本山岳ガイド協会認定バックカントリースキーガイドステージⅡ / 国際山岳救助連盟所属

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