2024.05.16
フィールドテストの実際〈Rock Jacket〉
通年の登山、バリエーションルート、各種クライミング、BCスキーなどオールラウンドに活動する山岳ガイドの水野 隆信氏より、今季新たにリリースした「Rock Jacket」についてのインプレッションが届きました。
水野 隆信 [ TAKANOBU MIZUNO ] https://guide-mizuno.com/
Rock Jacketのフィールドテストは長野県の小川山で行った。テストしたのは、その前身モデルであるWind River AP Hoody。
その大きな特長である高い耐摩耗性を維持しながら、ハーネスにも干渉しないポケットの位置など、ロッククライミングなど多くの登攀シーンで使用できるように進化されたアップデート版がRock Jacketである。
テストはマルチピッチクライミングからスタートした。狭いチムニーでガリガリと背中を擦るようなムーブが出てくるルートで、今回のテストにぴったり。
結果は花崗岩のざらついた岩質にもかかわらず、生地を確認すると何ら問題なく、使用感すら感じられないほどだった。この結果だけでも耐摩耗性が非常に高いと考えることができた。
長いマルチピッチクライミングでは、ギアの軽量化が重視される。これはウェアも同様だ。
特に風があるときはウェアリングに迷うこともあるが、防寒防風対策のウェアに関しては、可能な限り、薄くコンパクトに持ち運びたい。クライミング中は動いているので暖かいが、日差しがない場所でのビレイ中に風が出てくると、真夏であっても体の芯から寒さを感じるときがある。
その点、このジャケットは熱を逃がしにくいという特長がある。風をしっかり遮断してくれるから、自分の体温を利用して暖をとることができるのだ。
最大のポイントは、ルート上での着脱を想定した機能が追加されたことだろう。非常に軽量でパッカブルなこのジャケットはカラビナループ付きで、ハーネスのギアループにカラビナで装着して持ち運ぶことができる仕様だ。
私の場合は、ハーネス背面のギアループに付けているのだが、ここからが特に素晴らしいポイント。
強めの風が吹いた際、たとえばクライミングロープが舞うような状況での着脱では、たいていジャケットが飛ばされそうになる。しかし、このモデルはハーネスからカラビナを外すことなく、つまり、ギアループにぶら下げた状態で着脱できるのだ。
もちろん、その後のビレイやクライミングでの動作にも支障はない。また収納する際も、ポケットに押し込むことでスムーズにパッキングでき、最後はファスナーを利用することなくワンアクションで完全にパッカブルになる。収納後のサイズ感は手のひらサイズで非常にコンパクトだ。
飛ばされない安心感、そして着た瞬間から体を温めてくれる頼りになる相棒である。
ちなみに、私はこの機能をさらにスムーズに行うために、通常はSサイズのウェアを使用しているが、Rock JacketではMサイズを使用している。
この記事に関連する商品
Rock Jacket (Men)
この記事を書いた人